生き抜くこと―対論
雨宮 処凛,香山 リカ

amazonでは今日時点では何故かまだ「予約」扱いになってますが、近所の本屋さんで、勝間さんの本の隣に置いてありました(笑)ということで、2日続けて雨宮さんの出ている本です。
正直なところ、雨宮さんの持論は(当然ながら)同じです、で、それに対してどう応えるか、どういう話の流れに持っていくか、どういう切り口で論点を抽出するか、といった面において香山さんと勝間さんの力量の差が見えた2冊でした(^^;いえ、香山さんと勝間さんの問題意識のあり処の差であって、能力の差という単純な比較ではないですが。社会を少しでも良くしていくにあたって、あいまいな精神論じゃなくて、社会構造をどれだけ的確に認識するかという面において、ね。
印象に残った部分は2つ。
その1
いまどきの高校では、フリーターになると生涯賃金でこんなに損するよ、だから正社員になりなさい、フリーターはアカンよ、という教育をしているらしいです。でも現実問題として正社員のイスが半分しかない(15歳~24歳の働いてる人の半分が非正規雇用という統計がある)ところで、フリーターになるなって言われても、じゃあイスを取れなかった時はどうしたらいいの?って話。そこを全く教えてない。それじゃあ身を守れない。(これって、性教育と同じ構図では…。純潔を守りなさい教育だけしておいて、現実的な避妊方法を教えないっていうのと同じじゃん!)
その2
アメリカでは、軍隊のリクルーターが「軍に入れば大学に行けるよ」とか「健康保険があるよ」とかいう甘言で貧困層の若者を勧誘しているという話は堤未果さんの「ルポ貧困大国アメリカ」で読みましたが、それと同じような構図で自衛隊も若者を勧誘し始めているそうな!自衛隊が女性を勧誘する決め台詞の一つが「自衛隊は育児休暇が充実しています」なんだそうな・・・。いいのかそれ!!
国家制度としての徴兵制はなくとも、貧困が実質的な徴兵制度として既に機能しているアメリカ、これから機能していきそうな日本。戦争と貧困は密接に繋がっている。恐ろしい構図です。
昨日の記事に追記。
思うに、不安定雇用の低賃金層の場合、単に本や勉強に投資するお金が無いというより、学校のお勉強が苦手・嫌いだった人も多そうなので、そうなると仮にお金の余裕があっても本や自己投資にお金をかけないかな。そういう意識の問題のほうが根が深いかもしれません。もちろん大卒・院卒フリーターの問題もあるので、そういう層は逆に、余裕さえあれば引きこもって読書していたいかもしれない(笑)←ハッキリ言って私もそうです(爆)
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