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2008年11月20日 (木)

ロングテール—「売れない商品」を宝の山に変える新戦略

ロングテール—「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
クリス アンダーソン

なんとなく知っていただけだった「ロングテール」という言葉について、その詳細を知ることができた。

20世紀は、限られた品種の大量生産・大量消費の大衆社会。多数派に受け入れられる無難なヒット作を一方的に押し付けられるだけの社会。多様な嗜好には対応してくれなかった社会。物理的な制約により、小売店の棚も、電波も、映画館も有限だったから仕方が無かった。「地理的にパラパラと分散した観客は、いないも同じになってしまうのである」。

しかし21世紀は違う。少量多品種の多様化社会。コンピュータとインターネットにより、マニアックな趣向なものを、地理的に分散して存在するユーザーに届けられる時代。2割の売れ筋商品が売り上げの8割を占め・・・というパレートの法則は、ロングテール商売には全く当てはまらない。テールにある膨大な数の商品数×各商品が売れる数は、テールが膨大であるがゆえに、とても大きな数になるのである。音楽で言えば、amazonでCDを売ることでも従来型店舗よりははるかに在庫・陳列コストは低いが、更に配信ダウンロードともなれば、限りなくゼロに近くなる。

ロングテールを推し進めるものは、生産手段の民主化(アマチュア含めて誰でも手軽に発信できる)、流通手段の民主化(amazonみたいな集積者)、需要と供給のマッチング(グーグル検索や、読者レビューなど)。

とにかく本書を読めば、従来型の店舗商売がいかに物理的制約に縛られて画一的な商品を画一的な提供方法(陳列方法)でしか提供していないか、一方でネットを活用したロングテール商売はいかに多様な嗜好に対応する多品種の商品を、様々なラベリングや”おすすめ”によって柔軟に提案しているか、についてこれでもかと具体例で示してくれる。


買う側としてはマニアック商品を手軽に入手できて嬉しい社会だけど、「クラウド化する世界」でも述べられている通り、問題は、相当に売れっ子のクリエーターか、集積者しか儲からないってこと。他に本業があって自己実現として創作してる分には、それを見てもらえて幸せで良いけど、メシの種としていくには、厳しい社会だよなあ。例えばミュージシャン、20世紀型メガヒットの時代じゃない(CDは売れなくなっている)し、逆にインディーズレーベルでマニアックに自己実現している人達もたくさんいる時代だけど、テール部分の【少ない購入数×多様な商品】で個々のアーティストが生計を立てられる収入を継続して得ていくには、ネット戦略を上手くやんないと先細っていってしまうのでは・・・。アニメも、作るのにそれなりに人海戦術が必要な商品だから、どうなっちゃうのかしらーと思います。

まあでも、今の高齢者層はブログで情報収集しネット配信で音楽や映画を楽しむ…という、本書で示されている「21世紀型」社会とは隔絶されている人が多いし、だけど人口の多い最大勢力なわけだから、この先10年20年はまだまだ従来型の大量生産コンテンツ産業も滅びはしないでしょうね(笑)
私の実感として(あくまで自分の周囲における感触)、
60代以上:パソコンを自由自在に使える人はごく一部
50代:仕事で必須だから一応パソコンは使えるけど、ネットはよく分かってない人多数
30~40代:使わない人は使わないけど、使う人はフル活用!
10~20代:ネットは常識、ただしケータイ派とパソコン派がいる

それにしても、ここのところ何冊か翻訳書を読んでみて、確かにこういう最先端事象(マニアックな最先端ではなく、ある程度の社会的規模で展開されている最先端事象)については英語で素早く出版されており、英語ができれば翻訳を待たずにこれらの本を原書でいち早く読める、というのは本当にそうだと実感しています。まあ情報を早くに得たからって、私みたいな者はそれを何に活用するわけでも起業するわけでもないんで、まさしく豚に真珠ですがー。

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