昭和的価値観
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城繁幸
「昭和的価値観」というフレーズについては、詳しくは本書を。もしくは私が愛読している城繁幸さんのブログでもよく使われており、雰囲気で納得していたが、よくよく読み返してみるとそれが何なのか、端的に示している一文というのが、どうも見つからない。本やブログ全体で「昭和的価値観」を説明している状態。まあ端的に言えば、年功序列と終身雇用を尊ぶ価値観。会社に全てをお任せし滅私奉公すれば将来安泰という価値観。今の40代以上が抱えている価値観。35歳以下のいわゆるロストジェネレーション世代以下は、社会に出た時には「会社に滅私奉公すれば将来安泰」ではなくなっていたというお話。
『若者はなぜ3年で辞めるのか? 』P112より
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「わが社は賃下げやリストラは一切していません。従業員は家族ですから」
だが蓋を開けてみれば、「ここ三年間、正社員採用ゼロ」というようなケースは珍しくもない。
それでいて、現場に行ってみれば、疲れきった顔の派遣社員がこき使われていたりする。もちろんみな20代。少なくとも、年長者から見れば、彼ら派遣社員は家族とするには値しない生き物らしい。
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ああ~この「従業員は家族だから、わが社はリストラはしません!」ってフレーズ、ウチでも聞く聞く(笑)そして業績がどうでもリストラはしないので、新たな若者を迎え入れることができないでいる。
で、20代がほとんどいないので、うちでは「20代非正規」ではなく、30代が50代の約半分の給料でご奉仕している状態です、ハイ。
さて、今年に入って製造業不況で、ウチの会社もめっきり仕事が減り(局地的に仕事が集中して忙しい人もいるのだが)基本的には暇で、正直なところ残業するほどの仕事量が無くなっている。なのだが、「暇だ~」とぼやきながら何故か日々朝8時半から夜7時半まで長々と会社に居たりする人がいるから、不思議である。ちなみに残業手当の出ない部課長クラスの台詞だから、残業代が目当てではない。んじゃ何なのか。
曰く「もらっている給料の分は会社に居ないと申し訳ない」。
いや・・・本来はもらっている給料分の利益を会社にもたらしているか?という問題であって、給料の対価は(というか源泉は)「会社にいること」ではないと思うのだが。見事なり、昭和的価値観。
まあいいか、会社の上層部も昭和的価値観どっぷりだから、「残業してがんばっている」社員が偉い、と思っているみたいだし。感情上の利害は一致しているのでメデタシめでたし。
・・・ではない!昭和的価値観どっぷりの我が社は「不況でもリストラしない」を美徳とした結果、今かなりヤバイ感じである
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コメント
九条さん、おはようございます。会社の状況は大変ですね~どこも一緒なのか?? うちの会社は、今はアメリカの完全子会社ですが、元は純然たる日本企業でした。そのため、30代でも感覚は日本系企業の社員ですが、リストラがここ3年行われ千人ほど辞めれいますから・・・ しがみついている感じが否めませんね。上層部は、本社や他社からのヘッドハントで来ますから、昇進もなかなか見込めません。行き詰まり状態ですね。 私は中途組みなので、生え抜きが少なくなるほうが居心地はよくなるかと思っています。
40・50代の方々は大変ですよ。
投稿: おうすけ | 2009年6月 4日 (木) 08時26分
> おうすけさん
いつもコメントありがとうございます。
業種にもよるでしょうが、ウチの周りは(客先も取引先商社も)どこも青息吐息で、もう…。しかし正社員の有効求人倍率が約0.3倍という現状では、しがみつきたくもなるってもんですー(苦笑)
新卒一括採用で、ずーっと同じ人間が滞留する会社というのも…日本ならではなのでしょうね。
投稿: 九条あおこ | 2009年6月 5日 (金) 00時22分