書籍・雑誌

2010年11月14日 (日)

『日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう』

日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう
日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう

タイトルは釣りっぽいけど、中身はまっとうです。軍事費拡大のあたりは賛否あると思いますが、その他は普段巡回しているブログで見かける提言と同じです。だいたい、今の日本の財政がヤバイっていうのは、正常な思考回路があれば、そう思うのが普通だと思うのですが? こんだけずぶずぶに赤字国債漬けなんだからさ、老人の既得権を削るしかないとか、消費税を上げるしかないとか、まっとうな思考回路があれば、もうそれしかないよねえ。でもそのような提言が現実化しない日本の政治の現状。後期高齢者医療制度を導入すれば大反対の嵐が起こり、消費税アップすると言ったら選挙に負けたからって棚上げして放置。

本書に掲げてある処方箋の「消費税を上げる」とか「移民受け入れ」とか「教育制度の見直し」とか、別に「他の学者・評論家は言わない、彼独自の斬新なプラン」ってわけじゃなく、あっちこっちのブログや書籍で見かける類のものです。解雇規制を撤廃しないと日本の競争力落ちまくりで日本経済ヤバイ、老人の既得権削らないと日本の財政ヤバイ、とか、40代より下の世代のコンセンサスだと思うんだけど・・・違うのかな。

日本の現状って企業に例えると、R&Dでは「良い製品(良いサービス)」を開発して提案しているんだけど、それを営業が売ってないんだよね。実際に売りまくってるのは、売れば売るほど赤字が積みあがる困った製品たち(爆)大企業の中高年正社員だけを過剰に守る解雇規制、大判振る舞いの年金、貧富に関わらず高齢者を優遇しまくる医療費の仕組み、、、、 普通の企業なら、売れば売るほど赤字になる製品ばっかり売ってたら、そんな会社はいずれ倒産して淘汰されるからいいんだけど、日本国は、GDPの2倍の赤字でも(今のところ)倒産しないので、どんどんどんどん赤字を積み上げてます。

この場合、営業=政治家は、メインターゲットの消費者=中高年の有権者(←今の日本はシルバーデモクラシーなので)が支持してくれる製品だからって、売るほどに赤字が積みあがる製品を売り続けてる場合じゃないだろー? 日本国株式会社は本当に倒産しないのか? 今の30代がメインターゲットになる頃には、一度倒産して「会社更生法のもと悲愴な再建中」とかになりそうなんですけど・・・・・。

念のため。私だって消費税が上がるのは全然嬉しくないです。寂しいです。でも、現状のままずるずる赤字を垂れ流した挙句に、今のご老人達がこの世から退場した頃に日本国株式会社が破綻し、全てがぶっ飛ぶくらいなら(それこそ本書のタイトルの預金封鎖とそれに伴う社会の大混乱をくらうくらいなら)、少々税金が上がっても財務状態を立て直して欲しいと思うのです。私自身は封鎖されて困るほどの大層な貯金があるわけじゃないけど、間違いなく社会は大混乱するでしょう?安定した消費生活も商取引も成り行かなくなるでしょう?極端な話、例えばハイパーインフレになって「米1kgを買うのにお札100枚」なんて世界は嫌です(笑)

あと、今消費税を上げてくれれば、既得権益全開の今のご老人達からも税金を頂戴できますし。

(ところで国の財政とは別の話だけど、JALの労組も、公金出してもらって再建中の「経営破綻した企業」なんだという自覚がないのか、この状況下で整理解雇断固反対ってどういう神経してるんでしょう?既得権者ってコワイ。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月17日 (日)

【7割は課長にさえなれません】



7割は課長にさえなれません
城 繁幸

城 繁幸さんの新刊。面白くて一気に読んじゃった。
日本株式会社の身分制を、大手正社員が上位カーストで、非正規・中小社員が下位カーストと、「カースト」という言葉で表現しているのがツボった。まあ実際カーストだわな(笑)

少子化・労働人口減少でマクロでは人手不足のはずなのに、なぜ人が余っているのか?というのがずっと疑問だったわけですが、『誰もが努力するわけだから、組織の生産性は大幅に向上する。企業は選択と集中を進め、新規事業の立ち上げや産業構造の転換が進むだろう。これによって社会全体のパイが増えることになる』(P149)を読んで、ちょっと分かってきた気がする。
要するに現状っていうのは、日本企業がグローバルな競争に負けてて、日本全体として、労働人口の減少以上に雇用が減ってるってことか(爆)労働市場が硬直してるから、生産性が高給の給料に見合ってない中高年が、生産性の低い仕事をやってて、グローバルで見た時に他国の企業に負けてて、業績がふるわないから若い人を雇えなくて・・・みたいな?

グローバルな競争という意味では、じゃあ今は知識社会だから、大学院で学んだ専門性を持った人たちが活躍できているかっていうと、それもできていない日本て何なんだ?これは国としてヤバイだろうと思う。『知識社会を勝ち残るために、世界中が高等教育に予算を注ぎ込むなか、日本だけは「フリーター博士」の就職支援に予算を注ぎ込んでいる。』(P72)。日本以外の以外の先進国ではホワイトカラーは修士が当たり前の中、日本では文系で修士なんか行っちゃったらまず大手の正社員になんてなれませんね(笑)よく考えてみると本当に変な話だ。『(博士というのは)勉強しすぎて歳をとってしまった人たちのことよ。しんちゃんは、そうなってはいけませんよ。』(P67)には、吹いた。

あと最低賃金の考え方についても、ちょっと整理がついた。優秀な人はいいけど、「無能な」人間はどうやって生きてけばいいのさ?という疑問も常々あるわけで(そしてその答えはベーシックインカムだと思うが)。
『世の中には、時給1万円の仕事をできる人間もいれば、時給1000円以下の仕事しかできない人間もいる。グローバリゼーションが進んだ現在、最低時給を引き上げるのは後者の職を奪うということだ』(P123)というのと、『低所得者層向けに支援する「給付付き税額控除」のようなシステムが望ましい。これなら、年収200万円の人に対して、税を徴収するのではなく、支給することができ、年収200万円台の仕事も合法的に国内に残すことが可能となる。』(P209)というのを見て、これだ!と思った。そうそう、だってさあ、現に最低賃金以下で違法就労している外国人研修生の問題とか、必要なのに低賃金すぎる介護業界の問題とかあるし、海外移転しようがなく且つ低賃金なコンビニ店員とか、時給の低い職というのも社会には必要なのだから。

本書内では枝葉にあたる部分ばっかし書いてますが、本書の本筋は硬直化した正社員の労働市場を流動化せよ、です。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2009年10月25日 (日)

【働く幸せ】


働く幸せ~仕事でいちばん大切なこと~
大山 泰弘

障害者雇用率70%という驚異的なバリアフリー会社さんの素敵なお話。いいなあ、こういう企業さんがもう少しでも全国にあったら、養護学校の子たちがどんなにか働く幸せを得られるだろうと思います。
70%もたいがい驚異的なんだけども、それが身体障害者じゃなくて、知的障害者っていうのが凄い。「障害者雇用促進法」があって一定割合の障害者雇用が大企業には定められているし、新聞の求人広告なんかでも「障害者求人特集」なんていう見出しが時々出ていますが、そういうのはたいてい「事務処理などが健常者並にできる」身体障害者が対象であって、事務処理どころか足し算もできないような知的障害者は全くの蚊帳の外です。(大手の中でもユニクロは、知的障害者を含め障害者をたくさん雇っているそうですが)

ところがこちらのチョーク製造会社さん(日本理化学工業)は、四則計算もできないレベルの知的障害者も分け隔てせず、工場ラインの製造部員として雇っているというからビックリ。うおお、知的障害者は「作業施設」に行くしかないと思っていたのは思い込みだった。鎮静剤が必要なほどの行動障害の人が、つい暴れてしまって家に帰されても、反省してまた会社に戻ってくるのを何度でも許すとか、そんな営利企業が実際に存在するなんて・・・世の中広いなあと感動します。普通の会社だったら1日でクビだよなあ。(つかそもそも雇わないって)
福祉による作業施設だと、1ヶ月の賃金は1万円とか2万円とかで、働いてるっていうよりは・・・お駄賃?それが、日本理化学工業さんでは障害者にも最低賃金を支払っているとのこと。最低賃金って、健常者のパートとして考えると、うちの母なんか「え、そんな責任のある仕事をフルタイムでしているのに、1ヶ月に12万円!?!?」という低さですが、作業施設の1万円台と比べたらあり得ないほど高いです。

本書P146に『知的障害者たちは、たとえ上司の言うことであっても、納得できないことには従おうとはしないのです。「権力」は通用しないと言ってもいいのかもしれません。そのかわり、指示の意味をきちんと理解して、納得したときには、健常者よりも生真面目にその仕事に取り組んでくれます』とあります。そうそう、それが彼らの良いところ。そこをちゃんと活かしてくれる会社もあるもんだ。
でもって、障害者雇用のメリットとして『純粋で正直な障害者の存在が媒介になって、健常者どうしの連携や連帯感も強まりますし、人間らしい対応や、ホッとする人間関係、ここちよい職場の雰囲気が自然に生まれていきます。障害者が無心に働く姿を見ることが、そういう気持ちにさせるのかもしれません』(P171)とあり、障害者雇用は別に”慈善事業”ではなく、会社にメリットをもたらすものだと書かれています。これはでも、どこの会社でもってわけにはいかないんだろうなあ~。さすがに投資銀行とかコンサルティング会社みたいなバリバリエリート系会社に知的障害者の働く余地があるようには思えない(^^;

冒頭の部分に、初めて一人で通勤させたわが子をこっそり電柱の影から見守る母・・・というくだりがありましたが、いやうん、分かるわー。もしうちの下の妹がどこかの企業に雇ってもらえて、今日は初めて一人で出勤します!とかなったら、思わず電柱の影から行く末を見守りたくもなります。はらはら。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月18日 (日)

【貧困のない世界を創る】

貧困のない世界を創る
ムハマド・ユヌス

今まで何冊か貧困に対する”傾向と対策”を語る本を読んだが、どれも先進国の側からの援助ほ方法論の域を出ていなかった。が、本書は途上国自ら発展する方法論。「貧困のない世界を創る」方法として著者が提唱する方法論は、ソーシャル・ビジネス。その定義は、『社会的な目標を達成するために考えられた企業』(P23)
利益を最大化することを目的とする従来のビジネスではなく、原価は回収しつつ(あくまでビジネスであって慈善事業ではない)、配当はせず、生み出した利益は全て社会の発展のために再投資する。
氏はソーシャルビジネス専用の「ソーシャル・ストック市場」の創設を提案し、現在の”利益最大化企業”のような市場が形成されて、ソーシャルビジネスが世界のもう一つの潮流となることを理想図として掲げている。うーん、何とも壮大なる未来予想図である。

本書ではソーシャルビジネスの先駆けとしてのグラミン銀行や、その他のグラミン・ファミリーの事業について述べられている。
グラミン銀行はバングラデシュの貧しい女性達に(彼女達がささやかな家庭内起業をするための)小金を貸していて、その返済率は99%を超えるという。99%っていうのはスゴイね。グラミン銀行は、従来型の銀行が返済率がどうであれ貧乏人にはカネを一切貸そうとしてくれないために、氏が立ち上げたという。既存の銀行が身分のしっかりした&大口の顧客が大好きっていうのは、程度こそ違えど先進国でも同じことよね~。本書内でも、クレジットカードを持てないアメリカの低所得層が利用するペイデイローンの利率が暴利であることを指摘しているし、日本においても、あれだけ国策的に住宅ローンを勧めておきながら、しかしそれは大企業を中心とした「身元のしっかりした」正社員の特権であって、非正社員は蚊帳の外。(しかし今や20代の半数が非正社員とかいう時代になって、銀行は従来通りのやり方で今後もずっとやっていくつもりなのか?)
ほか、グラミン・ダノンのヨーグルト工場の立ち上げ&現地に即した流通システムの構築の話などなど、いずれも先進国のやり方の単なる導入でなく、いかにして途上国自ら発展する手助けをするかという事例満載。

ユヌス氏は2006年のノーベル平和賞を受賞している。いやー、同じノーベル平和賞っちゅーても、今年とはエラい違いだな(^^;

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月14日 (水)

【ソニー VS.サムスン】


ソニー VS.サムスン
張 世進

私はけっこうソニー好きです。iPodじゃなくてウォークマン派だし、VAIOも持ってます。何でiPodにしなかったかというと、最初に私がMDから乗り換えて買おうと思った当時、iPodはハードディスクタイプしかなくて、大きくて重かった。ソニーはメモリタイプでちっこくて軽いのを出していた。ハードディスクタイプの重さが我慢ならなかったので、ウォークマンにしました。私はそれ以前の段階でパソコンにMP3ファイルを蓄積したりはしていなかったので、どうせCDから落として入れるならATRACでも全く問題なかったし。一度そうしてしまうと、itunesではウォークマンは認識してくれないので、もう乗り換える気はしなくなったのでした。itunesで買った曲をsonicstageに移すのはめんどうなんですけどね(^^;
VAIOも他のネットブックに比べて段違いに軽いPシリーズがすごいです。他メーカーでは1kg以下のなんて見たこと無い中、ソニーの600g台はダントツに軽い。いま流行りの「イーモバイル2年契約と抱き合わせで100円パソコン」にはなりようも無く、高いですが、しかし他社より400gも軽いのはスゴイ。

そんなわけで、個人的にはソニーの技術力すげーと思っているのですが、世間的にはソニーは「落ちぶれた」存在のようです。本書ではソニーとサムスンを比較しながら、この2社の長所と短所を分析。経済・経営・会計などの知識不要で門外漢にも分かりやすい説明です。

著者によると、ソニーがダメになった原因は技術力の低下ではなく、組織上の問題だという。
(1)カンパニー制の導入と短期指標による評価制度によって、各カンパニーにおいて短期的に儲かるコトに投資するようになってしまった。まず、短期的には収益の上がりやすい、既に完成された分野への投資。例えば、デジタルTVに投資すべき時期にも、トリニトロンで優位を掴んでいたアナログTVに継続投資してしまった(レガシーの問題)。それから、単純な話、短期で商品化できそうなことに投資して、長期的視点での基礎研究を軽視する結果に。

(2)ハードウェアカンパニーとコンテンツ会社=ハード・ソフト間の協力が上手くいかず、シナジー効果創出に失敗。一番の例が、ソニーミュージックが反対してグタグダになった結果、MP3プレーヤー分野でiPodに完敗。

(3)上記2点の問題、カンパニー間の調整や長期的視点での戦略において、トップのリーダーシップが必要だったのだが、創業者世代からサラリーマン経営者(出井氏)にバトンタッチした時点で、カリスマ的なリーダーシップが失われてしまったことがソニーの敗因。

対して、サムスンが強いのは、革新的な製品の創出ではなくて、後から追撃可能な製品に特化したことと、会長のカリスマによる強力な中央集権体制が要因だそうです。しかしカリスマ経営者は不老不死ではないので、いずれはサムスンもリーダーシップの問題に直面するから、そこが正念場だとか。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年9月 4日 (金)

【脱貧困の経済学】

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

日本は再配分前よりも再配分後のほうが貧困率が上がる国だというのは、以前読んだ『子どもの貧困』という本でもとりあげられていて、なんじゃそらーと思ったのですが、子どもの貧困率同様、20代の貧困率もやっぱり再配分後のほうが高いのだそうだ(P60)。それ意味ないじゃん。何のための再配分?既得権益を既得権益者に分配してるだけじゃないか!お金持ちから貧乏人に配るのが、公務員にコストをかけてでも再配分する意味じゃないのか?

子どもの貧困―日本の不公平を考える

また、日本人の心性を『自由競争が嫌いで弱者救済はもっと嫌いな日本人』と表現している。ある意識調査によると日本は自由競争は正しいというのが多数派でもないけれど(正しいとする人が49%)、貧しい人は福祉で救うべきだという人も59%しかいない。『これは「世間」に後ろ指をさされない生き方をしている人は守るべきで、後ろ指をさされるような奴は自己責任、ということかと思います。』(P106) あー、だから母子家庭=離婚した人=後ろ指をさされるような女、には冷淡なわけですね。
「子どもの貧困」に『日本の一般市民は、子どもが最低限これだけは享受すべきであるという生活の期待値が低いのである。このような考え方が大多数を占める国で、子どもに対する社会支出が先進諸国の中で最低レベルであるのは、当然といえば当然のことである(P188)』とあるんですが、通ずるものがありますな。年功序列で競争を排し既得権益は守る一方で、弱者に厳しい心性・・・。

『新自由主義者だったら「経営者の席こそ徹底的に国際競争すべきだ」と言うはずです。だから彼ら(財界や高給正社員)は新自由主義者じゃない。貧しい人には新自由主義を、金持ちには既得権を、という「いいとこどり」をしているだけなんです。』(P104) なんたるダブルスタンダード。

ところで、本書P160以下によると、経済がゼロ成長だと2%ずつ労働力が余ってくるんだそうだ。=2%以上成長しないと、それ以外の要因が無くても人余りになるってこと。まして、工場がどんどん海外に移転してったら、国内の雇用は間違いなく減る。今の失業率の高さは不況によるとしても、やっぱこれから人ってどんどん余ってくるんじゃないの?
最近矛盾を感じてるのが、「少子高齢化で、これから生産人口 (15~64歳)がどんどん減っていく、だから女性や高齢者ももっと働くべきだ、移民も受け入れるべきだ」という論があるけれど、いやむしろ労働力が余って困ってるのが現状じゃない?これから更に国内の雇用が空洞化するとしたら、人口学の理屈で「少子高齢化だから人が足りなくなる!」と言っても何か違うような。もちろん、不足してるとこは不足してて、外食などのサービス業・介護・農業は人手不足。それで農業では中国の研修生を使ったり、東南アジアから介護職の人を連れてきたり、してるし。

しかし一方で若者がたくさん職にあぶれてる。(7月の完全失業率、全体で5.7%に対して、15―24歳は9.9%ですから)
『単純労働をしたい人は多いのに、労働者を欲しい会社が少なくなっている。(P40)』というのもあるし、じゃあ単純労働じゃない職だったら求人がいっぱいあるかって言ったらそんんなこともないよなあ。単純労働と違って頭数はそんなに要らないんだから、極少数の幹部候補がいればいい、って話でしょう?だいたい現に、中高年正社員の雇用を守るため若者の採用が抑制され、単純労働じゃない正社員になりたくてもなれない若者は多い。
高齢者がもっと働いて=定年後も会社に残ったら、会社はその分若者を雇う数を減らすでしょう?また本書P47~48には、ダンナが正社員の主婦がパート市場に参入してくると、若者フリーターがその主婦達に職を奪われてしまう、とあります。んんん?生産人口が減ってくというのは長期的な話なのに対して、雇用問題は短期だから、現実にはこういう齟齬が発生するのか??
すいません、よく分かってません。何か構造を見誤っているのでしょうか。一番単純な解は、介護と農業にどう人を持ってくるかということでしょうかね。でもキツイにもかかわらず安すぎて食べていけない給料では、人は集まらないのは当たり前だし・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 2日 (水)

【脱「ひとり勝ち」文明論】

脱「ひとり勝ち」文明論
清水 浩

著者によると『21世紀型の文明(=太陽電池や電気自動車の普及)には世界中の人に裕福な生活を約束するだけのエネルギー流通をもたらす技術が入っている(P169)』のだそうだ。また、『文明が進みすぎたから環境問題が発生したというよりは、19世紀の技術を20世紀からいままでずっと原理を変えないで使い続けてきたことが、これだけの二酸化炭素を出し続けていることにつながっているのだ(P176)』ってことで、人類はクルマに代表される文明生活を捨てることはできないし、捨てる必要もなく、石油をやめて新しい技術を活用した世界に移行すれば、むしろ今の便利な生活を地球全体に広げられる!とな。

電気自動車っていうのも、「環境のためには、少々不便でも・・・」じゃなくて、加速感・車内の広さ・乗り心地の良さという付加価値を高めれば、単純にそっちのほうが性能がいいから買いたいと思い、結果的に環境問題も解決するのだそうだ。(P141)

太陽光発電に関しては、今はもう、発電効率アップよりも、太陽電池を普及させるためのインフラ作りのほうが重要で、価格さえ下げられればペイする段階に来ているとのこと。(P95)”新しい枠組みが出来るときの3つの要件”が今の日本には揃ってるから、ここでガツンと太陽光発電にシフトしなくてどうする!!というのが強調されているのだが、どうも民主党の政策を見る限りそんなことは余り考えていないご様子です(^^;

ちなみに3つの要件とは↓
(1)資金(個人資産1400兆円を念頭においてるらしい?)
(2)技術(太陽電池の技術)
(3)必要性をもたらすネガティブな要素(環境問題・温暖化問題・エネルギー問題)

ちなみに内容は悪くないですが、行間がスカスカなんで読書スピードの速い方なら立ち読みでもイケます(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月12日 (水)

【大貧困社会】

大貧困社会
駒村 康平

本書では、年金について賦課方式から積立方式への移行は諦めている(苦笑)
『世代別に支払った保険料にふさわしい給付を調整すると、いまの高齢者の年金を少なくとも3~4割カットしなければならないのだ。そんなことを高齢者が受け入れるはずがない。(中略)それは政治的にはすでに不可能な選択肢になっている。』(P103)

本当はそこを政治家が長期的視点に立って何とかせねばならんのであるし、【だまされないための年金・医療・介護入門】ではそれを期待した上での、積立方式への移行の提唱となっている。が、現実は『高齢化社会では、いかに世代間で増加していく社会保障費用を分担するかが重要であり、その調整こそが政治家の責任である。ところが有権者の構成比が急速に高齢化しており、政治家も高齢者に迎合するような政策しか提案できなくなってしまっているのだ。』(P160)
ということで、やっぱり30代20代の皆さん、選挙に行きましょう(笑)

さて積立方式への移行を諦めている著者が提案する年金改革案は(P162)、
(1)今は正規雇用のサラリーマンだけが厚生年金だが、パートも自営も学生も無職も原則全ての国民を一つの年金制度にまとめ
(2)完全所得比例の保険料とし(学生や主婦や無職は所得ゼロなら保険料もゼロ)
(3)平均所得と加入機関に完全比例の年金額とする(1年働くとその所得の1%が年金額に反映される=仮に40年加入したら自分の現役時代の平均所得の40%が年金になるような仕組み)

ちなみに消費税の社会保障目的税化は必要だが、基礎年金の税方式はよろしくないとのこと。現行制度のままで基礎年金部分を税方式にすると、『必ずメリットを受けるグループは自営業者であり、必ずデメリットを受けるグループは年収500万円未満のサラリーマンである。(500万円以上のサラリーマンは設定条件次第による)』(P158)だそうで。いやん、基礎年金を税方式にすると、私は間違いなく損するのか・・・!(いや今は一時的に厚生年金じゃないですけど・爆)

ところで、本書によると『現在でも「公的年金は積立方式だ」と勘違いしている高齢者が多く、「保険料を払ってきたのだから、今貰っている年金はそれを取り崩しているだけだ。若い世代には迷惑をかけていない」と主張する人もいる』(p91)とあるんですが・・・えー、自分が積み立てた金だと思ってる人がたくさんいるの!?!?今や社会保険庁だって『必要な財源を、後代の世代に求めるという仕組み、いわゆる世代間扶養の仕組みによっているためです』とちゃんと言っているのに。困ったもんだ!


さて、本書では年金と健康保険だけでなく、ワーキングプア問題や子どもの貧困問題も扱っていて、なおかつ新書版であるので、貧困問題について概観するには良い感じです。年金と健保以外の部分で気になった点メモメモ。
・失業給付は、失業者の2割程度しか受給していない。およそ300万人の失業者に対して60万人くらいだそうだ。(今は350万人くらい失業者いるはずだけど)
・最低賃金の引き上げには必ず「企業の競争力を阻害し、雇用を減少させる」という批判が出るが、『先進国の産業構造は、低賃金に支えられて存続するような産業構造に甘んじるべきではなく、常に付加価値・生産性の高い分野にシフトすべきである。』(P62) 至極正論。しかし日本はそこがダメだからこういう低成長・低生産性な国になってるわけですが(苦笑)産業構造の変化がいかにできていないかについては、池田信夫 blogの日本企業はなぜ敗れたのかなどを参照。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月11日 (火)

【だまされないための年金・医療・介護入門】

だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方
鈴木 亘

現状のままの年金制度だと、いかにウチらが年寄りになった時に悲惨かということをハッキリ示されてしまった本。
キッパリと、
・少子化対策によって高齢化の進行を解消することはほぼ不可能(P228)
・1940年生まれ(今70歳くらい)と2005年生まれの生涯純受給額の差は8340万円!(P30)
・少子高齢化の現実がある限り、給付額を下げても、世代間不公平は結局変わらない=今既にもらっている世代と、これから貰う世代の不平等は給付の削減では解消しない。(P54他)現状のまま・給付カットした場合・保険料を固定した場合の試算が出ているのですが、賦課方式である限り、何をどうやっても世代間不平等は全く解消されていない。

しかも、著者の提唱する「積立方式への移行&基礎年金財源の消費税化」をやっても、一般的サラリーマン(厚生年金加入者)の負担は微増とのこと(苦笑)しかし、『賦課方式を続ける限り、「高福祉高負担か、低福祉低負担か」ではなく「低福祉・高負担か、中福祉・超高負担か」という選択肢しかない。(P55)』となれば、せめても積立方式にしてもらわないと!

積立方式への移行の最大の障害は、『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』にあった通りで、政治家が高齢者のほうを向いていること。『積立方式移行を行ってしまうと、(今の政治家にとって大票田である)現在の高齢者たちにも追加負担をお願いすることになりますから、そのような大票田に不人気な政策を決断するはずがないのです。(P97)』『政府が、人口構成および投票率の高い現在の高齢者の既得権益を維持したり、利益供与するように行動するのは当然(P145)』
あーほらやっぱ、とにかく若者の投票率を上げないと!みんな選挙に行くんだ、選挙に。どうせ自民を選んでも民主を選んでも、ある意味たいして違いませんから(苦笑)、どっちでもいいからとにかく若者の発言力をアップさせることが第一でっせ。

本書の結論(P58)
(1)年金・医療保険・介護保険いずれも賦課方式をやめて積立方式にすべき
(2)その移行は十分可能である
(3)一刻も早く移行しないと悲惨なことになる

積立方式に移行する場合、現在の保険料率が引き上げられるので、残念ながら今払っている世代の負担増になることは避けられないとのこと。しかし、『積立方式移行は、子どもや孫にあまりに過重な負担を押し付けないための「世代間の助け合い」改革と言えるでしょう』(P250)
現状とは逆の世代間助け合い(笑)でも実際、日本の個人金融資産1400兆円の8割以上は50代以上が持ってるそうだから。個々にはもちろん貧しい高齢者もいるし豊かな若者もいるわけですが、世代全体として見た場合にはそういう現実である以上、全体としては資産を握ってる世代が若者を助けるのが筋ってもんだろう。

ちなみに社会保険庁のサイトを見ると(公的年金制度の役割)、『必要な財源を、後代の世代に求めるという仕組み、いわゆる世代間扶養の仕組みによっているためです』とありますな。
いやだからさ。世代間扶養は、ストック資産を豊富に持っている高齢者層から、若者への流れに変更ヨロシク!

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年7月 1日 (水)

【若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?】

若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?
森川 友義

実はディスカヴァー社長室ブログの読者モニター企画に当選いたしまして、まだ発売前のこちらの本を読むことができました。週末からこっちバタバタしていて(プライベートも、会社も・苦笑)、感想をアップするのがすっかり遅くなってしまいました。

いや、ものそい面白い本でした!
メインのタイトル『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』を見ると、なんだか世代格差論っぽいタイトルですが、本論はサブタイトルの『35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座』です。選挙のキモと現実に政治を動かしている勢力についての解説がメインとなっています。しかし、「ホモサピエンスは原則的に利己的である」という本書が拠って立つ前提条件に照らすと、4000万円という数字の損得で読者を釣るメインタイトルは実に正しい。(笑)

(1)有権者は「合理的無知」を選択している
政治知識獲得は各人の日常生活には直接的メリットが少ないから。しかしそのようにして、特に若者が棄権している結果、政治がますますお年寄り偏重になり、損をしている。
損しないための第一歩:とにかく、誰の名前を書いたっていい、TOEICのマークシートの塗り絵じゃないが左から2番目!とかって決めても良いから(笑)、とにかく投票に行って、若者の投票率を上げること。それが政治家の意識を変える。所詮「国会議員は当選するために働いている。」(P81)現状の投票率では、「国会議員側から見ると、20歳代の棄権者1000万人は日本に存在していないのと同じ」(P22)

(2)実は政治を動かしているのは利益団体と官僚
利益団体は、組織票と政治献金を提供することによって国会議員を動かす。3大利益団体グループは、建設業界(公共事業のバラマキの正体)、医療系、太平洋戦争の遺族会。
そして75%以上の法律は官僚が作っている。企業に例えて考えてみると、人事権が一切ない社長(=大臣)ってどんなんや!

(3)もっと国会議員の力を強くするべき
政治の主体は4者:有権者・国会議員・利益団体・官僚
有権者は合理的無知によって政治リテラシーも低いし、若者は特に棄権率が高い。(第1章、第2章)
国会議員は実は「国益」を代表していないし力も弱い(第3章、第4章、第5章)
官僚支配は弱めるべし?
となると、「消去法でいけば、特別利益団体の力が相対的に強まっているか、あるいは日本という国の意思決定メカニズムが十分に機能しなくなっているか、のどちらかです。」(P184) →それでは日本に明るい未来は無い!政治家がもっと力をつけて、リーダーシップを発揮できる仕組みにすべし!総理大臣コロコロ変わってる場合じゃないぞーというのが本書の主張です。


私は実は政治学科卒業なのですが、いやー、学生時代にこのくらい素敵な基本書に出会いたかった!あるべき政治論ではなく、現実を直視するとこんなに面白くなるんですね(笑)

他に特にツボに入った箇所をあげると、
(1)自民党の選対委員長は、供託金を出してあげてでも、共産党を小選挙区に立候補してもらうべき(笑)(P90)
共産党候補がいなくて自民・民主の一騎打ちだと、自民党批判票が民主党に集中して、自民党が負ける可能性が上がるから。これ逆に言うと、共産党が出馬しないほうが政権交代の可能性が高くなるってことよね。日本の政治においては、とりあえず政権交代してみるのが第一歩だと思うので、民主党は、共産党に比例で頑張ってもらって小選挙区を諦めてもらいましょう(笑)

(2)「経団連が政府への提言をまとめた」というニュースは、「経団連という特別利益団体が政府に圧力をかけました」ということなのに、特定の利益団体が自らの利益のためにしている行動ではなく、あたかも公的な活動かのような報道がなされていることの不思議(P131)

(3)世代間の受益格差で見ると、「なかでも、どの世代が最悪なのかというと、グラフから推量するに、1975年生まれから1985年生まれまでの人たち。」(P20)
現在24歳~34歳くらいの若者のみなさーん!選挙行こう、選挙!

とりあえず選挙に行って誰でもいいから書いてくると、まず開票結果に関心がわきます。んでもって、もし自分が書いた人が当選してたら、その後の政策にも関心が出てきます。特に、自分の利益に反することをやり始めたら、「うわ、何てヤツを選んでしまったんだ!」と思うことでしょう。そしたら次の選挙では、自分の利益に反しない人を選ぶようにする。まーそういう風に少しずつ関心を持ってけば良いんじゃないかと。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧